美術ビギナー

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クリムト展④ユディトの圧倒

クリムト展が楽しかった理由。

 

③ユディトが圧倒的

 

今回の目玉作品は2つ。

そのどちらも、とても良かった。

 

目玉作品って、対面してみたはいいものの「あれっ?意外とこんなもん?期待してたのに」ってなっちゃうこともしばしばある。

 

けど、今回はズドンと来た!

特にユディト。

 

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※画像はクリムト展の公式ホームページから

 

ユディトの顔は、企画展のポスターにもなってるし、そもそも有名な絵だから、何度も目にしていた。

恍惚の表情で、これはなかなかに挑戦的だなぁとは思っていた。

 

そして実際本物を見たら、ユディトの表情の迫力が思った以上にものすごかった。

パッと目を引いて、目が離せなくなって、ズルズル引き込まれるタイプの顔。

 

ユディトを見ながら、クリムトは女を知ってる!って思った。

 

先日見たモロー展では、なんか女がリアルじゃないなぁっていう違和感があった。

モローの描く女には、生々しさやリアル感がなく、正直そこが物足りなかった。

モローは現代でいうと、ゲーム・小説・アニメの女性キャラで妄想し、それを作品にするタイプのような感じじゃないかな。

絵画用にチューニングされたモローの描く女は、エジプトの壁画のように横向きで、真正面から鑑賞者に迫ってこなかった。

とにかく、リアルな女性との乖離があるなと感じていた。

 

一方、クリムトのこのユディトは、ぐいぐい迫ってくる。

ガンガンいこうぜのスタンスでくる。

 

あまりに生々しいので、ユディトがベッドに仰向けに寝ているかのよう。

鑑賞者はユディトに覆いかぶさることになる。

すごい絵の見方になってくる。笑

 

左右半分で表情が違うところに惹きつけられる。

その左右差が、目を引きつけて離さない、ずっと見ていたくなる要素になってる。

正面から左半分の顔なんて、もう正気じゃなくて、いってしまわれてる。

あと歯。

あんな口の開き方、歯の見せ方、する場面ってどんなだって想像するとまぁそうなるよねというリアルさ。

 

この絵のモデルは、完成したこの絵をどういう感情で見たのか気になる。

 

首は、もうこの際無視。笑

クリムト、別に生首描きたいわけじゃなかったはず。

恍惚の表情の女を描くのに、ユディトは格好のテーマだったんだろう。