ユトリロ② 貨幣製造機
ユトリロ展で、画家の人生を知ることに興味を持つようになった話です。
モーリス・ユトリロ(1883-1955)はフランスの画家で、存命のときから評価され人気がありました。
ユトリロは、パリはモンマルトルの街並みをなんとも言えぬ味わいを持って描くことができたんです。
それだけ聞くと、幸せそうに聞こえますよね。
しかしユトリロの人生、全然幸せそうじゃないんです。
「貨幣製造機」として、晩年は生かされていたんだとか。
人気の画家だから描けば売れるんですよね。
味を占めた奥さんに「あんたは絵を描いて稼いでくれればいいの!」的な扱いを受けていたようなんです。
それにしても、貨幣製造機って…。
ものすごいパワーワードじゃないですか?
頻繁に外に行けないから、絵ハガキを見ながら描いたんだそうです。
「あんたの絵が一番人気あったあの時期の画風で、たくさん描きなさいよ」と奥さんにせっつかれ、描いたら水で薄めたワインをご褒美にもらって、また絵を描いて…を繰り返しました。
そうやって、質の高くない絵を量産していく晩年のユトリロ。
もう心がヒリヒリしてきますよね…。