ミレイ② ロンドン塔の王子たち
私の好きなイギリス人画家・ミレイさんの絵の紹介をしていきます。
今回は、こちら!
The Princes in the Tower | Art UK
なんといっても、表情に惹きつけられますよね。
この2人の顔、ずっと見ていられます。
でもなんでこんなおどろおどろしいムードなのか?っていうのは、この2人が誰なのかを知れば分かってきます。
2人は王子で、兄弟です。
右がお兄ちゃんのエドワード5世、左が弟のリチャードです。
そしてこの絵の舞台は、ロンドン塔です。
この絵は、塔に幽閉され、死の運命を辿るであろう王子たちの姿なんです。
彼らの父・エドワード4世が死去した後、お兄ちゃんのエドワード5世が王の座を引き継ぐかと思われたんですが…
エドワード4世の弟・リチャード3世(弟と同じ名前、ややこしい!)が次のイギリス国王になりました。
リチャード3世は、甥っ子をロンドン塔に閉じ込めて殺害し、自分が王になったと言われています。
本当にリチャード3世が殺したの?とか、王子たちが殺された証拠はあるの?とか、分かってないところはいっぱいあるみたいなんですが、イギリスでもリチャード3世というと怖くて残虐な王様みたいなイメージがあるんだとか。
絵の2人の表情に目を戻すと…
弟はキッと闇を睨んでいて「お兄ちゃん!きっと出ようねこんなところ!」みたいな、現状に抗おうとする気持ちがこもった顔つきなんでしょうか。
お兄ちゃんは年上な分、なんとなく自分の置かれた境遇、そしてこれから待ち受けるであろう悲しい運命を感じ取ってしまった表情かなぁと思います。
絵自体も凄く素晴らしいんですが、この王子にまつわるエピソードがよりこの作品を切ないものにしています。
本当に名画!!