美術ビギナー

初心者が美術と楽しく付き合っていく方法模索中

鈴木春信展行ってきました!

鈴木春信展@あべのハルカス美術館、行ってきました。

鈴木春信(1725~1770)は江戸時代に活躍した浮世絵師です。

浮世絵の中でもカラフルな「錦絵」の創始者として、日本史の授業でテストに出題されがちなお方です。

 

結論なんですが、思ったより、打ちのめされた。

というのも、日本人でありながら全然日本のことを知らなかった事実を突き付けられた感じがしたんです。

西洋画だったらギリシャ神話やキリスト教を題材にした絵が多いですが、一方浮世絵も和歌や故事を下敷きにしている絵が多いことを知り、「えっ元ネタ分かんない」の嵐。教養の大切さを思い知りました。絵の横に作品にちなんだ和歌が飾ってある作品も多数ありました。

浮世絵って、一般の人々も買ってたんですよね? 江戸時代の一般市民の教養レベル、高いな~!文化的でかっこいい。寺子屋パワーでしょうか。

 

誤解がないように説明させていただくと、展示は完璧でした!

すごく構成も分かりやすく、説明も丁寧で、浮世絵が初めての人でも分かりやすいようにと苦心してくださった学芸員さんの努力がめちゃめちゃ伝わる内容でした。

しかしネガティブ脳の福だるは、説明が丁寧な分「えっこの絵は〇〇をモデルにしているの?!」という意外な事実が連続で判明した結果「浮世絵って奥深すぎない?!ハードル、高ぇ…」と勝手に落ち込みました。笑

海外の絵だと「まあ私日本人だし」と分からないことから逃げてたけども、日本人でも日本人の絵は分からんという事実が明確になってしまって、これからもうちょい謙虚に絵を見よう…と反省モードに。

「そんな気負わずに楽しんでくれよ」という絵師だったら言ってくれるでしょうか。

でもね、「~する男女」っていうタイトルの作品で「これどっちが男?!」ってなるレベルですからね。笑

 

その上、以前美術館を楽しむワザとして鉛筆を持って出品目録リストにメモをすることを提案したのですが、提案した張本人が鉛筆を忘れるというまさかのミステイクを犯し、携帯でメモりながらの鑑賞になってしまいました。疲れた。

bluelake.hatenablog.com

 

そんな中でも、 心にのこった絵をいくつか。

 

●石川豊信の紅摺絵、ピンクと緑の2色が凄くキレイ。錦絵もいいけど、わたしもしかしたら紅擦絵の方が好きかも。「初代尾上菊五郎と初代中村喜代三郎」という作品のピンクと緑のバランスが特に好み。

f:id:ayalake169cm:20180429000933j:plain

Actors Onoe Kikugorô I and Nakamura Kiyosaburô I Playing a Shamisen Together | Museum of Fine Arts, Boston

 

八百屋お七をテーマにした絵が複数あった。火事で避難していた寺で男性に恋をしてしまったお七は、彼にもう一度会いたい一心で自宅に火をつけた。結果放火の罪で火あぶりに処せられてしまったという。思考回路がサイコパスのそれじゃねえかとは思いますが、ロマンチックだから絵や歌舞伎のテーマにしたくなるのは凄く分かる!

こちらは鳥居清広の作品。

f:id:ayalake169cm:20180429000747j:plain

Actors Yamashita Kinsaku as Oshichi and Osagawa Tsuneyo I as Kichisaburô | Museum of Fine Arts, Boston

 

●三夕という「秋の夕暮れ」で締められる有名な3つの和歌があり、それをテーマにした絵もあった。和歌を絵にするってすごくオシャレだと思う。ほんと教養求めてくる…!

この絵は「鈴木春信画」って3か所書いてある。書きすぎ。笑

f:id:ayalake169cm:20180429000443j:plain

Parody of the Three Evening Poems: Teika, Jakuren, and Saigyô | Museum of Fine Arts, Boston

 

太田道灌のエピソードにちなんだ絵もあった。以前出張で日暮里駅に立ち寄った際「この駅前の銅像どなた?」と思って調べたのが道灌だったので、「あぁあの時の道灌さん!」と一方的な親近感を持った。絵が個人的なエピソードをふいにつながると凄く嬉しくなる。

f:id:ayalake169cm:20180428232337j:plain

Woman Holding a Branch of Yamabuki (Parody of the Story of Ôta Dôkan) | Museum of Fine Arts, Boston

 

●恋人たちの絵コーナーの最初を飾る「桃の小枝を折り取る男女」は、2人の目線が合って「これから恋が始まりますよ感」が表現されておりワクワクする絵だった!

f:id:ayalake169cm:20180428232528j:plain

Young Man and Woman under a Peach Tree | Museum of Fine Arts, Boston

 

●「世菊を折り取る男女」は、事前にホームページでチェックして楽しみにしていた絵。期待以上だった。背景が黒で引き締まっていて、夕闇と菊を盗んでる(?)緊張感と恋が合いまった雰囲気がいい感じ。

f:id:ayalake169cm:20180427232438p:plain

展覧会の構成|ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信|2018年4月24日(火)− 6月24日(日)あべのハルカス美術館

 

●「秋の風」という絵は、強風に着物がなびく感じが動きがあって新鮮だった。動きがある浮世絵って、それだけで目を引く。

f:id:ayalake169cm:20180428235740j:plain

Two Girls Walking on a Windy Day | Museum of Fine Arts, Boston

 

こんな感じでした。

次回浮世絵見に行くときは、もう少し予習してから行こっと!

今回は見れなかったけど、いつかはこれ見たいな~。

f:id:ayalake169cm:20180429003026j:plain

Young Woman Jumping from the Kiyomizu Temple Balcony with an Umbrella as a Parachute | Museum of Fine Arts, Boston