モロー展②生々しくないモローの生々しい絵
宿命の女(ファム・ファタル)のテーマに憑りつかれたモロー。
さぞかし悪い女に痛い目を見させられてきた人生送ってきたんだろうと思っていました。
しかし、モロー展で得た情報から察するに、遊び人って感じではなさそうでした。
むしろ、モローさんはマザコンだったのかも。
モローが母親を描いたデッサンがありましたけど、恋人か?って感じでした。笑
邸宅がそのまま美術館になっているというパリにあるモロー美術館には、モローとママが対に向き合っている写真が飾られていました。
なんか…なんか…なんかだな。笑
なんとも言えないな。
好きな人がここまでママ好きだったら、ちょっとやだなっていう。笑
モローには、籍は入れてなかったものの添い遂げたアレクサンドリーヌさんという恋人もいらっしゃったようなんですが、それ以上に母親の存在感のデカさが気になりました。笑
母親と過ごすことによって、自分は母が悲しむような破滅的な恋愛は実際にはできない。しない。
だけど、心のどこかで、自分を滅茶苦茶にするような女に憧れてしまう。
妄想しかない! その結果浮かんだイメージを、絵にする。
…みたいな流れで、モローさんのスタイルはできあがっていったんじゃないかな。
モローさんの描く人間って、生々しさに欠けます。
神秘的とも言い換えられるけど。
モローさんが破滅的な愛に溺れておらず、あくまで妄想の世界をキャンバスにそのまま投影してるから、なんとなくふわっとしている感じ。
そこが魅力でもあるんですけど、「悪女こえー!」みたいな切迫感はあんまりないんですよね。
ただ、そんなモロー展で生々しかった絵。
母や恋人が亡くなった後に描かれた一枚。
この絵は、個人的に今回一番印象に残りました。
こんな人や光景、見たことないはずなのに、「なんか分かる」って思わせるパワーがある一枚。
なんていうか、親が死んだ日に夢にこいつ出てきそうって思いました。笑