モロー展③メッサリーナさん
モロー展では、聖書や神話に登場する宿命の女(ファム・ファタル)をたくさん見ました。
バリエーション豊かでした。笑
有名なのはサロメですが、メッサリーナさんなる古代ローマの相当アカン女を知ることができたのが収穫でした。
メッサリーナさんは皇帝の妻なのに、偽名を使って売春宿で1晩に20人もの男とお楽しみだったそうです。
もうやばいでしょ。エピソードが強すぎ。
逆に度を越し過ぎてカッコイイ気すらしてきました。
2000年も前の時代のローマの方なので、現代の日本の女性観や倫理観とは全然違うとは思う。
それでも当時の人も「メッサリーナはやべえ」と思っていたっぽい。
不倫が原因で死刑になってるらしいし。
今回モロー展には「メッサリーナ」というタイトルの絵が2枚ありましたが、そのうちの1枚がめちゃめちゃ良かったです。
モローにしては荒々しいタッチで、裸のメッサリーナがぬらりと立つ赤い絵です。
場所はどこなのか判然としませんが、売春宿なのかな。屋外っぽさもあるけど…。
真ん中にドーンと性欲に突き動かされた怪獣のようなメッサリーナの姿が描かれているんですけども、怪獣といってもダッシュで噛みついてバクバクって獲物にかみつくタイプじゃなくて、のそりのそりと動くけど、でも確実に獲物にありつくタイプの怪獣。
この絵に「メッサリーナ」以外のタイトルつけるとしたら何かな。「待てない」とかかな。笑
とにかく凄く印象的な絵でした。
性欲の強すぎる女性って、もしかしたら男にとってホラー映画の幽霊みたいな存在なのかも。
狙われたら逃げられない的な意味で。
何故だか引き付けられてしまうところも含めて。
性欲強すぎ、つまり自制のできない女をいましめつつ、結局は抗えない男の存在を、なんとなくモローの絵からは感じる気がします。