美術ビギナー

初心者が美術と楽しく付き合っていく方法模索中

池大雅展 書の振り幅!

京都へ池大雅を見に行ってきました。池大雅(いけのたいが)は江戸中期の画家で、水墨画を描く人だそうです。(あんまよく知らないで行った。)

 

今回の展覧会では、絵だけでなく書にもスポットが当たっていたのが新鮮でした。幼き頃からその達筆さで神童の称号をゲットしていた大雅は書入りの絵をたくさん作っていたんですが、作品に合わせて書体が全然違うから凄い。女子高生が好みそうな丸々とした文字、細かくびっしりとした几帳面な字、墨のにじみも味として生かす太くて勢いのある字、全部大雅が書いたのかとにわかには信じられない振り幅でした。「プラダを着た悪魔」と「マンマミーア」のメリル・ストリープくらい違うんじゃないでしょうか。

 

国宝「十便図」という10枚セットの作品は、文豪・川端康成が所蔵していたとのことで楽しみにしていたのですが、1枚しか見れず少し残念でした。十便図はこちらのホームページで全作品チェックできます。期間中に入れ替えがあるそうですので、どの絵が見れるかはお楽しみですね。

www.kawabata-kinenkai.org

 

絵だけでなく、大雅が演奏していた楽器や大切にしていた仏像も展示されていました。楽器は三弦(三味線)だったのですが、元弦楽部の友人に言わせると「四弦以上ないものは楽器とは認めない」そうです。楽器に疎い私としては「認めてあげて」としか言いようがありません。笑 仏像は、毎年清水寺音羽の滝にうたせて清めていたというエピソードがなぜか私たちのツボにはまり、以後清水寺を描いた作品が出るたび「あっ仏像を滝行させるところだよ」とヒソヒソするという薄気味悪い鑑賞者となりました。

 

大雅の作品の変遷も分かりやすく、

①中国の文人画をお手本にしたカッチリ画風期

②指で描く指墨画(しぼくが)のユニークな線を自分の作品に取り込むことでオリジナリティを出す期

③40代円熟期

と明快なのも面白かったです。だんだん「中国人の真似」から「池大雅にしか描けない絵」に変わっていくのがよかったです。

 

敷居が高かった水墨画ですが、今回は見ず嫌い克服のいいきっかけになりました。奥深かったです。勉強になったなぁ。