晩年のモネの衝撃
モネ。
美術に詳しくない人でも「あの睡蓮の人!」って言えるくらい有名なお方。
モネさんは印象派を象徴する画家です。
印象派というのは「絵って、もっと感じたままに描いていいじゃん!」というグループ。
どう見えたかより、どう感じたかを重視したんです。
見たものをそのままリアルに描く写実主義とは逆ですね。
特に「目に映る光を捉える」ことが、印象派・特にモネが一番大事にしていたことだそうです。
2016年に京都市美術館へモネの展覧会に、「睡蓮見るか~」みたいなテンションで行きました。
しかし見終わったとき、私の心に残っていた絵は睡蓮ではありませんでした。
私が「忘れたくない!」と速攻でポストカードを買い求めたのは、こちらの絵です。
File:Monet- Der Rosenweg in Giverny.jpeg - Wikimedia Commons
作品名は「バラの小径、ジヴェルニー」。
モネ晩年の作品です。
はっきり言って、衝撃でした。
こんな荒々しいモネのイメージはなかったからです。
しかも、最初は何の絵かよく分かりませんでした。
絵の具を塗りたくっているだけに見えたんですが、よく見るとアーチ状になっていることに気づきました。
モネの庭の風景を切り取った一枚なんだそうです。
これがモネの絵?という驚きと、作品が持つパワーが相まって、絵の前からしばらく動けませんでした。
モネは晩年には白内障を患っていたんだそう。
衰えゆく視力の中で、モネは庭の風景をどう見て…ではなく、どう感じていたんでしょうか?
私がこの絵から感じた印象は「絵に憑りつかれた」「マッドネス」という言葉です。
現代美術っぽいなとも感じました。
また、風景というより人間の内面・感情を描いているから、この絵は何年たっても古びないなとも思いました。
モネにこんな一面があったなんて!
こういう驚きがあるから、美術館はやめられません。